イジメダメゼッタイ。 * 5

「いやだっ、もおイヤだ、許して……」
 佐伯はぼろぼろ泣きながら懇願した。土下座だって何だってする。もう、勘弁して欲しかった。尻にペニスが入るのは苦しすぎるのだ。圧迫感で息すらできなくなりそうなのだ。謝れと言うなら100回だって謝るから、とにかく許して欲しい。
「高校のとき、俺が嫌がると佐伯は、余計に面白がっていじめてきたよな」
 木戸が離れていき、また戻ってくる。何をしに行ったのだろうかと佐伯が見てみると、彼の手には、ビンが握られていた。何なのかは分からないがどうせろくなものじゃないに決まってる。凝視する佐伯に見せつけるように、木戸は目の前でビンを振ってみせた。
「気になる? これ。これはね、媚薬だよ。堂々と買えるお遊びグッズじゃなくて、その筋から買ったやつ」
「うっ……!」
 佐伯は戦慄した。そんなものを自分に使ってこようというのかと。けれど、予想は違っていた。木戸はビンを自分の手に振りかけると、そのまま自身のズボンに手を突っ込んだのだ。
「……あんたなんか相手じゃ、興奮しないからね。これを自分のチンポに塗って、勃つようにしておかないと」
 思っていた用途と違い、瞬間的に気が緩む。だがそれはすぐに強い戦きに変わった。
 高校の頃、佐伯はたまたま木戸のペニスを見た。それが彼の優しそうな外見に反し、不釣り合いなほど大きなものだったから面白くて、木戸は散々彼をからかって遊んだ。――そのペニスが勃起して、今、恐ろしい質量になっていた。中にどれだけの精液を蓄え込んでいるのかというほどの太さ。それはいっそ凶器だった。
「いつでも始めていいぜ。カメラ、準備オッケー」
 今度は松原がカメラ係らしかった。木戸が、四つんばいの体勢になっていた佐伯の体を、ごろんと転がす。そしてペニスを広がった穴に押し当て、位置を調整し始めた。
「ほら。媚薬が効いて勃ってきた。じゃ、チンポ入れるよ? 何か言いたいこととかないわけ?」
「うう、……やめ、やめて、くれ…」
 ぜーぜーと息を喘がせながら佐伯は言った。だがその頼みを彼らが聞いてくれるはずもない。
「はは、泣いちゃっていい気味だな。僕もたっぷりおまえのケツ穴広げて、いっぱい精液出してやるからな。大人しく精液便器になってろよ」
「っああ! あああーっ!」
 屈辱的なことを言うなり木戸は入ってきた。いくら散々に掻き回されたとはいえ、先ほど処女を失ったばかりなのだ。ようやく抜けたところに大きく質量を持ったものを入れられて、衝撃に佐伯は思いきりアヌスを締めた。木戸が、くっと息を詰める。
「そうそう。いい便器っぷりじゃないか。そうやって、ケツの穴で頑張ってチンポ扱いてなよ。おまえみたいな人間の屑は、掘られてヒイヒイ泣いてるのがお似合いだ」
 ずちゅずちゅと、木戸も遠慮なく腰をぶつけ始める。内臓がペニスに吸い付き、擦れて、無惨に性器を扱く穴にさせられる。再び始まった苦痛に佐伯は泣いた。
 異変が起きたのは、それからじきだった。
「っひ、っあ……!」
 10回ほど挿入を繰り返された頃だっただろうか。ぞわぞわと、気持ちの悪さとは違う何かが佐伯を襲い始めた。気のせいかと思ったそれは、ペニスが抜かれ、入ってくるたびに大きくなる。そして抽挿がまた十度も繰り返される頃には、はっきりとした快楽になっていた。
(嘘だ、け、ケツの穴で、レイプされて良くなるなんて!)
 木戸のペニスは本当に大きかった。亀頭こそ松原ほどは開いていなくて刺激が弱いけれど、全体のサイズが凄いのだ。強引に押し広げていく凶悪な性器。そんなもので感じるはずがない。けれど佐伯が今抱えているのは、アナルセックスを初めて経験している自分でも分かるほどにはっきりとした快感。繋がった部分が切ないような甘さを伴って、頭の中全部、ペニスで突いて欲しいという願望まみれになってくる。
「……あーっ、あっ、……んあ…ああ……」
 それまでぎゃあぎゃあと叫んでいた佐伯の口から、喘ぎとしか形容できないような、高い声が出た。佐伯のペニスが動くたびにそれが出る。そんな泣いてるみたいな哀願の声が出るなんて、自分で信じられなかった。けれど確かに男の性器で佐伯は感じてしまっているのだ。ずっと苦痛に萎えたままだった性器も、少しずつ膨らんできていた。
「あーん、だってさ! きもっ」
 松原が笑う。
「良くなってきたんだね。さっきまでぎゅーっと締めてきてたのに、ケツ全体で包み込むようにになってきてる。どうするんだよ、佐伯。おまえの尻穴、俺のチンポが気に入っちゃったってさ!」
「ひいっ……、そ、んな…!」
「この淫乱野郎! てめえなんか人間じゃなくてオナホールとして生まれてくれば良かったんだ!」
 二人は交互に嘲りの言葉を投げつけてきた。存在自体を否定される道具扱いの言葉はさすがにショックで、それなのに佐伯のペニスが行き来するたび頭の中がセックス気持ちいいということばかりになっていって、佐伯はまた泣いた。
 無論、本当に強姦で感じているわけではない。先ほど木戸が自身のペニスに塗りつけた媚薬。それが動くたび佐伯のアヌスへと染みこんでいき、快楽を覚えさせているのだ。けれど何もかもぐちゃぐちゃでまともに思考ができない佐伯にそのことが分かるはずもない。
(そんな、俺! 俺、チンコなんか突っ込まれて、よくなっちゃってんのかよおっ!)
 自分の体に裏切られた気分だった。パシャパシャとカメラの音がし続けている。そして木戸も、しばらく突き込んだところで乳首に手を伸ばしてきた。
「っうう!」
 苦痛しか覚えなかったアヌスで快感を抱くようになってしまっていたのだ、もとより快楽器官だった乳首の気持ちよさは、凄まじいものがあった。佐伯が胸に舌を伸ばしてくる。先ほどは俯せの姿勢だから手でしか触れられなかったけれど、今は上を向いているのだ。胸を舐めることもできるのである。
「……は、あ。すごいな。媚薬塗ったから、俺のチンポぎんぎんだ。松原、おまえも後で塗っとけよ」
 言いながら乳首を唇で挟まれる。
「あああーーっ!」
 思い切り佐伯は乱れた。過ぎるほどの快感だった。だと言うのに、更に舌が出され、そのぬるついた先端でまで胸を責められる。気が遠くなるほどの快感が佐伯を蝕んだ。すると性器を入れられたアヌスの快楽も一層増してしまう。ぎちぎちと佐伯の肛門は木戸のペニスを包み込んだ。
「そのうち、イっちまいそうだな」
 腰を動かされる速度が一層増す。最初よりずっと穴が広がってしまっている、そのことが佐伯には自分で分かった。アヌスの快楽は異常だった。始めは胸の方が感じたというのに、一度アヌスでの気持ちよさに気がついてしまったら、一気にそちらにばかり意識がいった。
「ああーっ! い、いやだ! いやだああ!」
 大量の精液を蓄え込んだペニスが、めちゃくちゃに佐伯の体内を蹂躙する。まるで本当に佐伯がオナホールか何かで、自分の意志だけで動いていいのだと思っているかのように。肛門で感じる自分のことが信じられなくて佐伯は叫んだ。
「へえ? 嫌なんだ?」
「あっ……!」
 絶叫する佐伯に辟易したように、木戸が腰の動きをぴたりと止めた。先ほど松原が射精したときのように、ペニスを奥まではめ込んだ姿勢で。また射精されるのか、それとも今にも動き出すのか――佐伯は息を呑んだが、彼は動かなかった。
「あっ、……あ、ああ…っ」
 そうして動きを止められると、アヌスがぎゅんぎゅん収縮する。
(動いて、欲しい……!)
 それが正直な気持ちだった。擦り上げて欲しい。このたくましいペニスで、自分の中を掻き回して欲しい。そうして快感を与えて欲しい。だがそんなこと、言うわけにいかない。佐伯はぎゅうっと穴を締めて、うっ、くっ、と喘ぐに留まろうとした。
「あれ? どうしたわけ? 佐伯のケツ、俺のチンポを奥にやろうとしてるみたいにぐいぐい飲み込んでくるよ? もしかして動いて欲しいの?」
「んな……、わけっ、なっ!」
 過ぎる快感にふうふうと肩で息をしながら否定する。木戸は余裕の笑みを浮かべていた。
「へー。じゃ、このままでもいいよな」
「ぎゃああっ!」
 乳首がぎゅっと摘み上げられる。意識が飛びそうなほどの感覚が体中を駆け巡った。けれど達することなんてできない程度の刺激だ。ただ体に受ける快感が高まるだけにそれは留まった。
 そうなると、佐伯の体には今にも絶頂してしまいそうな気持ちのよさが溜まっていくばかりだ。
「……んっ、ん…ん……! んんん……!」
 ぎゅう、ぎゅう、ぎゅうと半ば意識して佐伯は尻の穴に力を込めた。そうして締め付けることで、木戸が動いてくれないかと期待して。だんだんもどかしくなってきていた。そうして彼が留まっていても、ペニスは全て体の中に入っているのだ。だから感じる。今にもイってしまいそうなほどに。でも、動いてくれなかったらイけそうにないのだ。頭の中が真っ白になりそうなくらい快感が高まってきているけれど、これじゃ達することができそうにない。
 勿体ぶるように木戸が、腰を一度だけグラインドさせる。無論、そんな動きじゃペニスは抜けない。ただ刺激が走るだけ。穴からは気が狂ってしまいそうなほどの感覚がしている。ついに佐伯は耐えられなくなった。
「っあ、動いて、動いて……! チンコ動かして……! イ、きたい…!」
 木戸と松原が、顔を見合わせて嘲笑した。
「おいおい? やめろって言ったり動けって言ったり、どっちなのさ」
「そんなに木戸のデカチンが良かったか?」
「頼む、お願いだから! おかしくなりそうなんだ、このままじゃ!」
 ばたばたと足を動かしてまで、少しだけでもペニスの感触を味わおうとする。だがその足は木戸にあっさりと押さえつけられた。そして、のし掛かるように木戸が、腰を更に深く押し込めてくる。
「ああーっ!」
 もう駄目だ、駄目だ、変になってしまう! これ以上、動いてくれずに快楽ばかり与えられたら、本当に頭がイカれる! 本能的な恐怖を抱くほどに強烈だった。それでも、目を見開いて佐伯が叫んでいるというのに、肛門をぎゅんぎゅん締めて限界を伝えているというのに、木戸は動いてくれない。
 終わりだ、本気でおかしくなる! そう思ったとき、松原が耳元で囁いた。その言葉を口にすれば何とかしてくれるということなのか。一縷の望みを託して佐伯は大声で叫んだ。松原に言われた、その通りのことを。
「ま……、マンコです、俺は、男じゃなくて、ただのマンコ穴ですっ! ケツマンコです! だからチンコ動かしてっ、ああ、動かしてえ、ください! マンコ穴になりますからああ」
 全てを言い切った。するとすぐに、無言で木戸が腰をまた動かし始めてくれた。
「ひああああー! あああー! あっ、イクっ、イクうう、ケツいくっ! あああああ!」
 何も考えられなくて無意識のうちにそう宣言していた。にゅる、ちゅる、にゅると幾度か木戸が抜き差しをする。佐伯は一際大きく叫び、……頭の中が真っ白になった。体がびくびくと痛くなるほどに跳ねる。ペニスが熱くなる。一切性器に触れられていないのに、射精してしまったのだ。けれどとにかく気持ちがいいのはアヌスだった。ペニスが中に解けてしまったのかと思うような一体感。スパークするほどの激しい快感だった。
「ひいーっ、あああっ、ああっ、許して! 許じでえええ!」
 だが、そうしてイっているというのに、木戸は腰を休めてくれなかった。初めて肛門で絶頂しているところだというのに、パンパンパンと腰をぶつけてくる。そのたびに佐伯はイった。息ができない。今にもショック死してしまいそうだった。
「イっでるがらあ! 今、イってるから! 死ぬう! チンコうごが、動かずなあ! ひっ、ひいいっ、ぎゃあっ!」
 挿入は止まらなかった。木戸も松原も一言も口を開かず、ただ佐伯だけが絶叫しながら、無慈悲に絶頂させられ続ける。散々にイって、気が狂ってしまいそうで、ついに佐伯は過ぎる快感に白目を剥いた。
「ぎゃああーっ!」
 ……そして最後にびくびくと痙攣し、それきり電池が途切れたように動かなくなった。ついに体が耐えきれなくなり、意識をやってしまったのだ。それでも木戸は、佐伯が気絶をしてもやめてやることなしに、ペニスを入れ続けた。意識を失った佐伯の性器から、びゅっと精液が吐き出された。

 それからじきに佐伯は意識を取り戻した。そして、気を失っていた間も続けられていた性交に気がつき、ひっと恐怖の声を上げた。それから程なくして木戸はようやく射精し、肛門の中を精液で満たしていった。びゅるびゅると出されていく精液の感覚にまた意識を失いかけるも、松原に頬を張られ気絶できない。
 木戸が性器を抜くと、今度は松原の番だった。そうして、この場所へ連れ込まれた初日。佐伯は散々レイプされ、肛門は精液タンクとして作り替えられた。

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